「仕手株」に厳罰。豪当局がSNSを利用した価格操作に警告、4人の有罪判決を受けて
SNSでの「買い煽り」は犯罪?
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概要:「無料」という言葉は、投資の世界でも強い吸引力を持ちます。

「無料」という言葉は、投資の世界でも強い吸引力を持ちます。
しかし、その一言の裏に条件や手数料が隠れていたとしたらどうでしょうか。
ドイツの金融当局が、まさにその点を問題視しました。
2025年、ドイツ金融監督庁(BaFin)は、オンライン証券大手のflatexDEGIRO Bank AGに対し、合計56万ユーロ(約9,000万円)の行政罰金を科しました。理由は、「誤解を招く投資広告」です。
BaFinによると、問題となったのは2022年初頭。
flatexDEGIRO Bankは、自社が運営する複数のウェブサイト上で、「無料で投資できる」と受け取れる表現を用いてサービスを宣伝していました。
しかし実際には、取引のたびに「通常の処理手数料」が発生する仕組みでした。
その重要な情報が、広告上で十分に、そして明確に示されていなかったと判断されたのです。
「無料」という言葉だけが前に出て、コストの存在が見えにくい。
BaFinはこれを、ドイツ証券取引法(WpHG)に違反すると結論づけました。
BaFinは今回の処分にあたり、投資サービス事業者が公表する情報は「公平かつ明確」でなければならないと改めて強調しています。
これは商品説明だけでなく、広告やマーケティング全般に適用される原則です。
ウェブサイト、バナー広告、キャンペーンページも例外ではありません。
メリットだけを強調し、リスクやコストを目立たない場所に押し込む。
そのような表現は、投資家の判断を誤らせる可能性があるとして、厳しく問題視されます。
ドイツ証券取引法では、証券会社や投資サービス提供者に対し、サービスの利点と同時に、リスクや不利な条件もバランスよく提示することを義務付けています。
これはEU全体で共通する考え方でもあり、MiFID II(金融商品市場指令)によってさらに具体化されています。
簡単に言えば、 「良い話をするなら、同時に注意点も語りなさい」ということです。
日本の金融商品取引法における広告規制とも、考え方は非常によく似ています。
この罰金について、flatexDEGIRO側は比較的冷静な姿勢を見せています。
同社は、今回の制裁について「想定していた範囲内のもの」であり、すでに引当金も計上済みだったと説明しました。
また、2025年の連結純利益見通し(1億5,000万〜1億6,000万ユーロ)に対しても、「実質的な影響はない」としています。
投資家向け説明会でも、この問題はすでに言及されていたとのことです。
flatexDEGIROは、ヨーロッパを代表する個人向けオンライン証券の一つです。
約300万口座を抱え、年間の証券取引件数は6,000万件を超えます。
これほどの規模を持つ事業者の広告表現は、市場全体に与える影響も大きい。
だからこそ、規制当局は細部まで目を光らせます。
「小さな表示ミス」では済まされない。
それが今回の処分から読み取れるメッセージです。
注目すべき点は、flatexDEGIROが今回初めて問題を指摘されたわけではないという事実です。
2023年、BaFinは同社に対し、銀行監督規則違反を理由に105万ユーロの罰金を科しています。
内容は、内部管理体制の不備。監督報告の不十分さや、マネーロンダリング対策の欠陥が問題となりました。
当時、BaFinは特別監視担当者を任命し、改善状況を直接チェックする異例の対応を取っています。
今回のBaFinによる処分は、海外証券の話にとどまらず、日本の投資家が直面している現実と深く重なります。
「無料」「手数料ゼロ」「低リスク」といった言葉を入口に、条件やコストが見えにくいまま取引へ誘導される構図は、金融庁に寄せられる相談や、SNS型投資詐欺とも共通しています。
投資トラブルの多くは、いきなり被害が表面化するのではなく、広告や勧誘という最初の段階で静かに始まります。
日本の金融庁が投資広告の表現に厳しい目を向け続けているのも、その入口こそが投資家保護の要だからです。
派手な言葉に安心する前に、条件を見る。書かれていることだけでなく、書かれていないことにも目を向ける。
その一歩が、巧妙化する投資トラブルから資産を守る、最初で最も確実な防波堤になります。

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